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簿記3級の電卓ルールはネット試験でも統一試験でも同じ — 違うのはそろばんと筆記用具

日商簿記3級には、ペーパーで受ける統一試験と、テストセンターのパソコンで受けるネット試験の2方式がある。手持ちの電卓が使えるかを確かめるとき、多くの人が「方式によって電卓の規定が違うのではないか」と考える。結論を先に書くと、電卓の機能要件は両方式で共通である。

規定の本文があるのは統一試験のページ(試験科目・注意事項)の側で、ネット試験のQ&Aはそこを「2級・3級共通」として参照先に指定している。つまりネット試験用の別規定が存在するのではなく、同じ1つの規定を両方式が使っている。

方式によって実際に違うのは、電卓ではなくそろばんの可否・筆記用具・計算用紙の扱いである。

以下は2026年8月15日時点の商工会議所の検定公式サイト(kentei.ne.jp)の記載に基づく。

禁止されているのは機種ではなく機能

統一試験のページ(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class3/exam)の「受験に際しての諸注意事項」には、次のように書かれている。

計算器具(そろばん、電卓。どちらかを1つ)を使用しても構いません。ただし、電卓は、計算機能(四則演算)のみのものに限り、例えば、以下の機能があるものは持ち込みできません。 ・印刷(出力)機能 ・メロディー(音の出る)機能 ・プログラム機能(例:関数電卓等の多機能な電卓、売価計算・原価計算等の公式の記憶機能がある電卓) ・辞書機能(文字入力を含む) (注)ただし、次のような機能は、プログラム機能に該当しないものとして、試験会場での使用を可とします。日数計算、時間計算、換算、税計算、検算 (音の出ないものに限る)

同じ文言が2級のページ(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2/exam)にも掲載されている。

読み違えやすいのは、この規定が機種ではなく機能で書かれている点である。禁止されているのは印刷・メロディー・プログラム・辞書の4機能であって、特定のメーカーや型番ではない。関数電卓が使えないのは、「関数電卓」という名前が挙がっているからではなく、プログラム機能の例示として書かれているからだ。

「四則演算のみ」だけを読むと意味が変わる

もう1つ重要なのが、末尾の注書きである。「計算機能(四則演算)のみのものに限り」という一文だけを取り出すと、四則演算以外のキーが1つでもあれば失格に見える。しかし公式は続けて、次の5機能はプログラム機能に該当しないものとして使用を可としている。

  • 日数計算
  • 時間計算
  • 換算
  • 税計算
  • 検算(音の出ないものに限る)

つまり税計算キーのついた電卓は使える、と公式が明記している。「四則演算のみ」と許容5機能はセットで読む必要があり、片方だけを引用すると規定の意味が変わってしまう。

判定は次の順で行える。

区分該当する機能
持ち込みできない印刷(出力)機能/メロディー(音の出る)機能/プログラム機能(例:関数電卓等の多機能な電卓、売価計算・原価計算等の公式の記憶機能がある電卓)/辞書機能(文字入力を含む)
使用を可とする日数計算/時間計算/換算/税計算/検算(音の出ないものに限る)

サイズ・桁数・メーカーの規定は公式サイトに記載がない

公式が定めているのは上記の機能要件だけである。電卓のサイズ・桁数・キー配列・メーカー・機種についての規定は、公式サイトに記載がない。「何桁以上でなければならない」「この大きさを超えると不可」といった基準は、公式の文面には存在しない。手持ちの電卓を確かめるときは、大きさや桁数ではなく、上の4機能に当たるかどうかだけを見ればよい。

方式で違うのはそろばん・筆記用具・計算用紙

ネット試験のQ&A(https://www.kentei.ne.jp/net-qa)の「受験について」Q1には、次のように書かれている。

Q1 当日の持ち物は何が必要ですか? 本人確認証と電卓をお持ちください。筆記用具については試験会場でボールペンをご用意いたしますので、受験者個人の筆記用具の持込は禁止とさせていただいております。

※持込可能な電卓については下記サイトの<受験に際しての諸注意事項>をご覧ください(2級・3級共通)。また、パソコンの計算機能を使用することはできません。ネット試験においては、そろばんは持込不可となっております。

電卓については統一試験ページを参照させる一方で、そろばん・筆記用具・パソコンの計算機能には固有の記載がある。両方式を並べると差分は次の4点になる。

項目統一試験(ペーパー)ネット試験(CBT)
電卓の機能要件四則演算のみ。印刷/メロディー/プログラム/辞書機能は持込不可同じ規定を参照(「2級・3級共通」)
そろばん可(「計算器具(そろばん、電卓。どちらかを1つ)」)不可
筆記用具持参。HBまたはBの黒鉛筆、シャープペン、消しゴムに限る(ラインマーカーや色鉛筆、定規等の使用は認めません)持込禁止。会場がボールペンを用意
計算用紙問題用紙・答案用紙・計算用紙が一体となった冊子を配布し、試験終了後に全て回収会場がA4サイズ2枚のメモ用紙を用意。試験終了後に全て回収
パソコンの計算機能(該当なし)使用不可

そろばん派にとってはこの1点が方式選択に直結する。統一試験は「そろばん、電卓。どちらかを1つ」で選べるが、ネット試験ではそろばんを持ち込めない。

ネット試験のメモ用紙は持ち帰れない。公式は「メモ用紙の持ち帰りが発覚した際は、その試験は無効とするとともに、以後の受験をお断りする場合があります」としている。

なお試験中は、携帯電話や腕時計型情報端末等、外部との通信が可能な機器の使用を一切禁止する、と公式が定めている(https://www.kentei.ne.jp/report)。電卓の「辞書機能(文字入力を含む)」不可はこれとは別の規定で、根拠となるページが異なる。

試験方式そのものの違い(試験日程・申込方法・合格発表など)は ネット試験と統一試験の違い で扱っている。

当日の持ち物は申込完了メールで確認する

ネット試験の持ち物について、公式は「お申し込み時に入力されたメールアドレスへ受験申込完了後にお送りするメール」に当日の持ち物・来場時間・受験規約などを記載している、と案内している(https://www.kentei.ne.jp/32364)。公式サイト上のQ&Aに書かれているのは「本人確認証と電卓」までで、完全なリストはメール側にある。持ち物を公式サイトの記載だけで確定させないほうがよい。

統一試験については、集合時刻・試験開始時刻が会場によって異なるため受験票を確認するよう公式が求めている。本人確認は、原則として氏名、生年月日、顔写真のいずれも確認できる身分証明書(運転免許証、旅券(パスポート)、社員証、学生証など)を持参する。

次にやること

  1. 手持ちの電卓を、禁止4機能(印刷・メロディー・プログラム・辞書)と許容5機能(日数計算・時間計算・換算・税計算・検算)に照らして確認する。機種名で判断せず、キーと機能で見る
  2. ネット試験を受けるなら、申込完了メールで当日の持ち物を確認する
  3. 統一試験を受けるなら、HBまたはBの黒鉛筆・シャープペン・消しゴムを用意する。そろばんで受けるならこちらの方式になる

規定は公式サイトで更新されうる。受験前に https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class3/examhttps://www.kentei.ne.jp/net-qa を直接確認しておく。